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手すりを付けたのに使われない|取り付け位置は、寸法より動作で決まります

せっかく手すりを取り付けたのに、ほとんど使われないまま残っている。
住宅改修を終えたあとで、そういう話をうかがうことが時々あります。

工事そのものは図面どおりで、下地にもしっかり固定されています。
それでも本人の手が自然に伸びない位置だと、使われずに終わってしまいます。

私は工事部門の事務として、見積から完了報告までを担当しています。
図面と現場写真を見比べていると、うまくいった改修には共通点があると感じます。

それは寸法から入るのではなく、その方の動作から位置を決めているという点です。

高さの目安は、あくまで出発点として考えます

手すりの高さは、床から750〜800ミリほどが目安としてよく使われます。
ただ、この数字は平均的な体格の方を想定したものにすぎません。

背中が丸くなっている方や、膝を伸ばしきれない方もいらっしゃいます。
その場合は目安より少し低いほうが、体重を預けやすいこともあります。

反対に、脇を締めて体を引き上げる動きが得意な方もいらっしゃいます。
数字から決めるより、実際に手を伸ばしていただくほうが確実だと感じます。

立ち上がりか、方向転換か、またぎかで形が変わります

同じ手すりでも、目的とする動作によって向きも形も変わってきます。

体を引き上げる立ち上がりなら、縦手すり(たてに付ける手すり)が合います。
廊下を伝って歩く移動であれば、横手すり(よこに付ける手すり)が向きます。

浴槽をまたぐ動作では、縦と横を組み合わせたL型が使いやすいこともあります。

困っている動作が一つに絞れていないと、形の選びようがありません。
ですので、まず「どの場面で困っているか」をうかがうようにしています。

ケアマネジャーさんと先に共有しておきたいこと

現地を見せていただく前に、次の三点を教えていただけると助かります。

  • 困っている動作の場面(立ち上がり、方向転換、またぎなど)
  • ふだん使っている福祉用具と、その置き場所
  • 介助される方が、どちら側に立つか

歩行器や入浴台の置き場所と、手すりの位置がぶつかることがあります。
介助する方の立ち位置に手すりがあると、かえって邪魔になる場合もあります。

この三点が分かっていると、現地で確かめる時間がぐっと短くなります。

制度の面で、先に確かめておきたい点

介護保険の住宅改修は、支給限度基準額が原則20万円とされています。
このうち1〜3割がご本人の負担となり、残りが保険から給付されます。

対象になるのは、手すりの取付、段差の解消、扉の取替えなどです。
滑りにくい床材への変更や、便器の取替えも対象に含まれています。

注意したいのは、原則として工事の前に申請が必要だという点です。
先に工事を済ませてしまうと、給付を受けられない場合があります。

運用の細かい部分は市町村ごとに違うため、事前の確認をおすすめします。

進め方の全体像は、こちらのページにまとめています。
介護保険の住宅改修の進め方

迷ったら、写真を1枚見せていただくところからで大丈夫です

その場に立っていただかないと分からないことは、確かに多くあります。
とはいえ、まず現状の写真を見せていただくだけでも話は進みます。

扉の向きや廊下の幅が分かれば、選べる形はある程度まで絞れます。
図面がなくても構いませんので、気になった時点でご相談ください。

実際の工事は、こちらでご覧いただけます。
住宅改修・リフォームの施工事例まとめ

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